石神井とゆかりがある「ど根性ガエル」の原作者で、練馬区在住の漫画家・吉沢やすみさんの長女・大月悠祐子さんが描いたコミックエッセー「ど根性ガエルの娘」第1巻が現在、発売されている。発行はKADOKAWA(千代田区)。
自身も漫画家として活動する大月さんが、昨年実写ドラマ化され話題となった「ど根性ガエル」の大ヒットの陰で起きた家族の崩壊と再生の物語を鮮烈に描いた同作。ニュースサイト「週刊アスキー」で連載され、「すごい内容」「衝撃的」と話題を呼んだ。昨年7月に掲載された第1話の合計ユニークユーザー数が16万を超え、現在もその数は伸び続けているという。現在も同サイトで連載中(一部無料公開)。
「昔から父のことは、いつか漫画にしたいとずっと思っていた。ど根性ガエルのドラマ化などの話も出て、父や家族のOKももらえたので描くならば今だろう」と漫画化のきっかけを振り返る。一方で、「父や家族が追い込まれている時期のことを描いている時は、やはり思い出してつらかった」と明かす。
「ただ、家族に取材し、できた漫画を読んでもらうことで、皆で過去のことを話す機会が増えた。家族の理解が深まるきっかけともなり、とても良かった。もしも長年の仕返しで描いたならば、もっと違う中身になっていたと思う」とも。
漫画について、「父はとても喜んで『なあ、早く続きを読ませてくれ』とせがむくらいで、母も弟も過去に起こったことをメモに書いてくれるなど、応援してくれている」と大月さん。大人になってからは、父・吉沢やすみさんから「家族みんなで行こう」と地元の焼き鳥店やすし店、カラオケ店に誘われることも増え、親子の思い出となっているという。
「父は飲んで食べておしゃべりしてからのカラオケが大好き。グレから立ち直り、とてもまともになった今の父を見ていると、『ああ、お母さんが好きになったのは、このお父さんだったのだな』と思う。どうか、ずっと仲良く、穏やかに幸せに夫婦仲良く暮らしてほしいというのが娘からの思い」と話す。
第1巻では、吉沢さんが直面した大ヒット後のスランプ、仕事と家族を残しての失踪など壮絶なエピソードに加え、漫画家デビューした当時の話が掲載されている。描き下ろし番外編のほか、スペシャル企画として父娘インタビューや、ウェブコンテンツ「ペンと箸 -漫画家の好物-」で吉沢家を描いた田中圭一さんの寄稿も収録。田中さんが描いたストーリーは、「泣ける」とネットでも話題になった。
「ど根性ガエル」は、中学生の主人公・ひろしと、ひろしのシャツに張り付いて平面ガエルとなったピョン吉との奇妙な共同生活や、個性的なキャラクターたちとのさまざまな騒動を描いたギャグ漫画。TVアニメ化もされ、全国のお茶の間をにぎわせた。
A5版、全176ページ。価格は1,000円。全国書店、通販で取り扱う。