武蔵大学江古田キャンパス(練馬区豊玉上1)内の歴史建造物が2月25日、練馬区の登録文化財に続き、BELCA賞を受賞した。
2月17日、「武蔵学園大講堂」「武蔵大学3号館」が区の登録文化財に登録された。今回、施設に加え、「武蔵学園根津化学研究所」が公益社団法人ロングライフビル推進協会(BELCA)の主催する「BELCA賞」のロングライフ部門に選ばれた。
同賞は、長期にわたって適切な維持保全を実施し、優れた改修を実施した既存の建築物のうち、特に優秀なものを選び表彰することで国内のビルのロングライフ化に寄与することを目的としている。ロングライフ部門は、長期使用を考慮した設計のもとで建設されるとともに、長年にわたり適切に維持保全され、期間にわたって維持保全されることが計画されている模範的な建築物を表彰するもの。
武蔵学園大講堂は、1928(昭和3)年、日本の代表的な建築家で、大隈記念講堂や日比谷公会堂を手がけた佐藤功一の設計で、旧制武蔵高等学校の講堂として建築。現在は、入学式や卒業式などに用いられている。鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造、2階建て。ゴシック様式の構造も残しつつ、意匠としては近代的合理的空間を目指したモダニズムの息吹が感じられる。内壁の布目タイル、外壁のスクラッチタイルなどにも時代の風合いが残されている。
武蔵大学3号館は、清水組(現・清水建設株式会社)の設計で、1923(大正12)年~1925(大正14)年にかけて、旧制武蔵高等学校の校舎として建築。現在は、主に大学の教室として使用している。鉄筋コンクリート造、塔屋(とうや)付き、3階建て。関東大震災、空襲を経験した建物で、区内に残る鉄筋コンクリート造の近代建築として最も古い建物。デザインはアールデコと呼ばれるもので、外壁の柱の凹凸や上部のジグザグ模様が特徴。
武蔵学園根津化学研究所は、1936(昭和11)年に佐野利器(としかた)の設計により完成。佐野さんは耐震構造学の発展に大きく寄与した世界的な建築家で、武蔵大学3号館の設計にも携わっている。同研究所の初代研究所長には玉蟲(たまむし)文一教授(理学博士)が就任し、物理化学の分野で多くの功績を残した。現在は「玉蟲文一研究室」として当時の内装を残しつつ、主に「武蔵大学総合研究所」の施設として使用している。鉄筋コンクリート造で、1988(昭和63)年に研究所はそのままで、上部を覆うように武蔵大学9号館が建設された。
同大では、「見学を希望する場合は、事前に総務課(TEL 03-5984-3712)に連絡を」と呼び掛けている。