練馬区は3月15日、23区では初となる、災害時の透析医療を適切に提供するための「練馬区災害時における透析医療確保に関する行動指針」などを策定した。
同指針は、区内透析医療機関・透析患者・透析患者搬送団体・区の4者による連絡会や、練馬区災害医療運営連絡会専門部会で検討したもので、関係者が取るべき行動や連携の在り方を示す内容。
人工透析には多くの水と電力が必要で、ライフラインがストップした場合、医療機関は透析を提供することが難しくなる。東日本大震災では、宮城県の全透析施設が停電し、9割を超える施設が断水した。定期的に透析を受ける必要のある透析患者は、2~3日に1回程度透析を受けないと命に関わるため、発災初期の混乱の中においても透析医療の確保は急務という。
区では、透析医療の確保のためには平常時からの準備や発災時の冷静な行動が必要であることから、同指針を策定。今後は訓練により検証を重ね、災害時の透析医療確保のための体制強化を図っていく。
この日は、透析患者の搬送手段を確保するため、平常時から透析患者を搬送している介護タクシー事業者団体である「練馬区透析患者送迎協議会」と、「災害時における透析患者搬送に関する協定」を締結した。
震災などによって、かかりつけの透析医療機関で透析が受けられなくなった患者を、同協議会が、避難拠点から区内の指定する緊急透析医療機関まで搬送するという内容。
東日本大震災では、各透析医療施設が透析患者の集団移送を行ったが、透析が間に合わず亡くなった人もいたという。こうした状況を受けて、区では昨年度、23区で初めて透析患者の緊急搬送に関する協定を、NPOなど8団体と締結。本年度、区内の介護タクシー事業者によって新たに設立された「練馬区透析患者送迎協議会」と協定を結び、患者搬送体制をさらに強化する。