練馬区立石神井公園ふるさと文化館内のうどん店「むさしの エン座」(練馬区石神井町5、TEL 03-3995-1577)が9月28日~30日、復興イベントとして気仙沼の「ふかひれうどん」を提供している。
気仙沼港の「鼎(かなえ)が裏」をイメージした「ふかひれうどん」
提供するのは、気仙沼・復興屋台村「本手打ちうどん みずき」(宮城県気仙沼市)店主の石渡康宏さん。「ふかひれうどん」は、気仙沼名産のふかひれと三陸産メカブ、気仙沼港に浮かぶ神明崎浮見堂(しんめいさきうきみどう)をイメージした紅ショウガの天ぷら、3つの具材で同湾の「鼎(かなえ)が浦」を表していると説明する。
同イベント開催は「むさしの エン座」の店主・加藤智春さんが気仙沼を訪れたことがきっかけ。「お昼を食べに復興屋台村に行ってみたら、手打ちうどん店があり本当にできるのかなという気持ちで寄ってみた。その日は営業していなかったが、気になって後日行ったところ、うまいうどんだった」と加藤さんは振り返る。
東京に戻ってから「うどんで応援できることを」と昨年行ったイベント「うどんフェスティバル」をヒントに、練馬への誘致を企画。石渡さんのプロフィールを調べてみたところ、知り合いのうどん店「讃岐うどん いわい」(北区上十条)店主・岩井佑介さんの弟子だったことが分かり、岩井さんを通じて提案し実現した。「当初は、被災地に行っていいのか悪いのかという気持ちもあったが、結果的に石渡くんのような若者と出会えてよかった」と加藤さん。
石渡さんはもともと父親が経営するフカヒレの加工会社に勤めていたが、被災で仕事が激減し、フカヒレ料理店の開業を目指していた。経営の勉強が必要だと感じていたところ、知り合いを通じて知り合った岩井さんの店に修業することになったという。
昨年9月中旬から1カ月間修業し、「通常、うどん打ちをマスターするのに早くても数か月~半年かかるが、石渡くんは早かった」と石井さん。「ちょうど、群馬で開催された『麺‐1グランプリ』に出場することになっていたので、石渡くんにずっと麺を打ってもらい感覚をつかんでもらった」とも。石渡さんも「このイベントが自信につながった」と話す。
「最初はうどんには興味がなかったが、岩井さんの師匠である香川の宮武うどんの大将の話を聞き、うどんの伝統を後世に残していくという考えに共感するように。気仙沼の人はうどんを食べることが少ないので、自分が地元で手打ちうどんのおいしさを広め、その技術を後世に残していくことで恩返しになるのでは」と石渡さん。「ふかひれうどん」は気仙沼らしいものをと石渡さんが考案したもので、「実は、祖父がふかひれラーメンの考案者。それをうどんでやってみた」とも。
期間中の提供メニューは「ふかひれうどん」(1,000円、1日400食)のほか、「気仙沼 ホルモン丼」「気仙沼 ホルモン皿」(以上500円)などに限定。
「このようなイベントがいろいろな店で展開され、気仙沼のおいしいものが東京でも広まるきっかけになれば」と石渡さん。「情熱を込めて打つので、ぜひ食べにきてほしい」と来店を呼び掛ける。
営業時間は10時~16時(うどんが無くなり次第終了)。