東京23区内唯一の牧場・小泉牧場(大泉学園町2)で10月21日、酪農体験イベントが開かれ、親子らが乳搾りなどに挑戦した。主催は練馬区。
牛と触れ合い牧場や酪農をより身近に感じてもらうことで、区民に酪農や都市農業への理解を深めることを目的に2005年から開催する同イベントは、今回で7回目。
開会式では「同区内に牧場があることに驚かれる方も多く、区の事業として小泉牧場に協力してもらい体験学習を開いている。観光の牧場ではなく、仕事場となっている牧場であることから今日の貴重な体験を今後に生かしてもらいつつ、都市農業の理解者となっていただきたい」と同区・都市農業課の生方課長があいさつ。
この日は223通の応募から抽選で選ばれた90人の親子らが参加。体験内容は「乳しぼり体験」「親牛とのふれあい」「子牛とのふれあい」「牧場のおはなし」の4つで、参加者は4班に分かれ順にイベントを楽しんだ。
「乳しぼり体験」では、3代目牧場主の小泉勝さんが自分の親指を牛の乳首に見立て搾り方をレクチャーし、小泉さんの子どもたちが手本をみせた。参加者は初めての乳搾りで出てきた牛乳に驚きつつも手で牛乳を受け、舐(な)めた人は「甘い」「温かい」などと感想を述べた。「この温かさを忘れないでくださいね」と小泉さん。「飲めない方は手にすり込むとツルツルになりますよ」とも。
「このイベントを通じて練馬の人にこの場所を知ってもらい、ここで酪農を行う意義を理解してもらって小泉牧場応援団になってもらいたい」と小泉さん。「そのために、区も全面的にバックアップしてくれるので大変ありがたい」
「私たち親子はこの場所で酪農を続けていく。皆さんのお力添えがなければ私たちだけでは成り立っていかない。ぜひとも温かく見守ってほしい」と小泉さんの父、與七さん。最後に「今日は楽しかったですか?」と與七さんが問い掛けると、子どもたちは「楽しかったです」と大きな声で答えた。
小泉牧場は1935(昭和10)年に開業。都市化の進行で2002年に23区内で酪農を営む唯一の牧場に。周辺に住宅が増えたことで「臭い」などの苦情が増えたが、臭気対策のほか小学生の牧場見学の受け入れをきっかけに、酪農に対する理解者が増え良好な関係を築くことができたという。現在、約2000平方メートルの敷地で45頭の牛を飼育している。
牧場産オリジナル商品として「小泉牧場アイスミルク」を制作し販売したところ徐々に話題となり、現在ではアイス目当てに訪れる観光客もいる。価格は300円。