東京23区内唯一の牧場・小泉牧場(大泉学園町2)で5月19日、酪農体験イベントが開かれ、親子らが乳搾りなどに挑戦した。主催は練馬区。
同イベントは、今回で8回目。2005年から小泉牧場が協力し区の事業として体験学習を開いているもので、牛と直接触れ合うことで区民に酪農や都市農業への理解を深めることが目的。
今回100人の募集枠に315人の応募があり、年々応募数も増えている。「23区でオンリーワンの牧場。このイベントを通じて都市農業の理解者となっていただきたい」と、同区・都市農業課の生方課長。
この日の体験内容は「乳しぼり体験」「親牛とのふれあい」「子牛とのふれあい」「牧場のおはなし」の4つで、参加者は4班に分かれ順にイベントを楽しんだ。
「乳しぼり体験」では、3代目牧場主の小泉勝さんが自分の親指を牛の乳首に見立て搾り方をレクチャー。「搾りたての牛乳はまだ生きているので手を添えて受け取り、その温かさを感じてほしい」と話した。参加した子どもたちは大きな牛に腰が引ける場面も見られたが、搾って出てきた牛乳を受け取ると「温かい」と驚きを見せた。
最近同牧場では、雄牛の子牛出産が続くという「珍現象」が起こっており「雌が生まれると赤飯炊きたくなる」と小泉さんの父、與七さん。同牧場ではある程度まで育てた牛を北海道の広い牧場に預けており「今6頭を預けている。広い大地で走って健康に育ててもらい種付けして帰ってくる」と、都市農業ならではの話も。
「私たち親子は今後もこの場所で酪農を続けていく。ぜひとも温かく見守ってほしい」(與七さん)とも。
小泉牧場は1935(昭和10)年に開業。都市化の進行で2002年に23区内で酪農を営む唯一の牧場に。周辺に住宅が増えたことで「臭い」などの苦情が増えたが、臭気対策のほか小学生の牧場見学の受け入れをきっかけに、酪農に対する理解者が増え良好な関係を築くことができたという。現在、約2000平方メートルの敷地で40頭以上の牛を飼育している。