23区唯一の牧場「小泉牧場」(練馬区大泉学園町2)で4月3日、今年初の雌の子牛が生まれた。
昨年の10月から雌牛に恵まれなかった同牧場。今年に入って8回の出産でやっと雌牛が誕生した。久々の雌牛誕生に「やっと生まれた」と安堵(あんど)する牧場主の小泉勝さん。この日、小泉さんがフェイスブックで報告するとたくさんの「いいね!」と祝福のコメントが届いた。
昨年も6頭連続で雄牛が続いたこともあり、この珍しい状況に「他の酪農家さんたちも『面白いね』と喜んでいる」と小泉さんも複雑な表情を見せる。「よく牛の繁殖時期はいつですかと聞かれることが多いが、人間と同じで牛も出産をしないと牛乳が出ないので年中出産している」と説明する。
人工授精用に雌雄を約 90%の確率で産み分けることができる雌雄選別精液もあるが、受胎率が低いことから使うことを控えている同牧場。その後、2回出産があったが、雄牛と死産で残念ながら雌牛は続かなかった。「知り合いは10連続雌牛が生まれたところもあり、とにかく女の子が欲しい」と小泉さんも懇願する。
酪農牧場で雄牛が誕生した場合、1カ月程育てた後、子牛専門の市場に出品し肉牛農家が肉牛として育てるという。「スーパーで何も記載されていない国産牛肉はホルスタインがほとんど。和牛の場合は和牛と表記する必要があるので」
同牧場では、酪農を通じて子どもたちに命の大切さやチームワークを学ぶことを目的にした酪農体験を練馬区と共同で開いている。「人間は子牛が飲む分の牛乳を分けてもらっていること。本来は20年生きるかもしれない雄牛や毎年出産と妊娠を繰り返し、乳を多量に搾ることで6~7年で乳牛も人間の食糧になっていることを理解してほしい」と小泉さん。