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練馬区立美術館で知られざる画家「小林猶治郎展」-孫・富田有紀子さんの作品も

小林猶治郎 「擡頭」(たいとう) 1929年 栃木県立美術館所蔵

小林猶治郎 「擡頭」(たいとう) 1929年 栃木県立美術館所蔵

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 西武池袋線中村橋駅近くの練馬区立美術館(練馬区貫井1、TEL 03-3577-1821)は2月17日より、「超然孤独の風流遊戯― 小林猶治郎(なおじろう)展」と「富田有紀子展」を同時開催する。

富田有紀子 「No.833」 2010年

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 画家・小林猶治郎は1897(明治30)年、静岡生まれ。生前から作品を売らず、独り自適に油彩画を描いていた。画家付き合いもあまりせず、名声にも無頓着でほとんどの作品がアトリエに残されたまま今日に至っていた。

 ごく一部の作品は同館のほか、栃木県立美術館、千葉市美術館、板橋区立美術館などによって評価され各館の所蔵品となり、コレクション展などで紹介されてきたが、猶治郎の画業の全容はこれまで明らかにされることなく、知られざる画家となっていた。

 今回、同館が練馬区豊玉にあった画家のアトリエを調査し修復作業を行った作品を機に阪神大震災時にキャンバスに穴の開いてしまっていた猶治郎の代表作「なぎさ」も修復し展示するほか、各館の所蔵品を集め約80点の作品と資料などを展示する。

 「本展は作品調査、修復作業を経て、画家・小林猶治郎の全容に迫る試み。今よみがえる画壇からはみ出した希少な画家の姿に、ぜひご注目ください」と同館広報担当者。

 同展に合わせて、猶治郎の孫で現代美術化・富田有紀子さんの作品も展示する。平面作家の登竜門の一つ「VOCA’96 現代美術の展望展」で奨励賞を受賞。柔かな襞(ひだ)が画面いっぱいに満ちあふれ広がりゆくイメージを持つ抽象画は、見るものに鮮烈な印象を与える。近年では色鮮やかな花や果実を画面いっぱいに描き出し、周りの空間まで温かな光に包まれるような美しい油彩画を発表している。

 「本展は、富田有紀子の魅力を紹介するとともに、大正から昭和にかけて活躍した祖父と、今日注目のアーティストの時空を越えた『共演』。一足早い春の気配に満ちたエネルギッシュな空間が皆さまをお迎えする」

 会期中、毎週土曜15時~、ギャラリートークを行う。3月2日・30日はゲストとして富田さんが参加するほか、ジャズライブ、声優・銀河万丈さんによる読み語りなどのイベントを開催する。詳しくは同館ホームページで確認できる。

 開館時間は10時~18時。月曜休館(祝日の場合は火曜休み)。観覧料は一般500円ほか(いずれの展示も観覧可)。4月7日まで。

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